岩崎 渉,博士(科学)
iwasaki AT k.u-tokyo.ac.jp
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 教授
東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻(兼担)
東京大学 理学部 生物情報科学科(兼担)
東京大学 大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻(兼担)
東京大学 大気海洋研究所 (兼務)
東京大学 定量生命科学研究所(兼務)
東京大学 微生物科学イノベーション連携研究機構(兼務)
生物学における未発見の法則・可能性を求めて
私たちの研究室では、特定の生物や個別の問題にフォーカスした従来の生物学から、俯瞰的な「データサイエンス」へと変貌する生物学への大きな流れに注目しています。これまでアプローチできなかった非モデル生物や生命現象を自在に研究できるようになる中で、バイオインフォマティクス、理論・数理、実験、フィールドサンプリング、また他分野の技術や手法も含めたあらゆるアプローチを取り入れつつ、以下の5つの本質的な問いに挑むことをミッションとしています。
- 生命システム進化学・ゲノム進化学
- 極めて精巧で複雑な生命システムはどうして進化できたのか?
- エコシステム戦略学
- 生態系はどうして今の姿で安定に維持されているのか?
- 機能未知遺伝子学・DNA配列空間学
- 40億年の生命の歴史はどのような未知の遺伝子機能を進化させたのか?
- 対偶遺伝学・多次元オーミクス
- ビッグデータから未知の遺伝子機能に迫るための方法論は?
- 遺伝子誕生学
- この広い地球上で遺伝子は今どれだけ生まれているのか?
特に関連する研究分野・研究領域は、以下の通りです。
- 【バイオインフォマティクス】特に進化情報学・生態情報学分野
- 【進化学】特にゲノム進化学・生命システム進化学分野
- 【微生物生態学・ゲノム微生物学・環境DNA学】特に微生物ダークマター・非モデル生物・メタゲノム・データベース分野
論文発表
論文一覧のページに全ての論文を日本語の解説つきで掲載しています。
研究に関連する日本語記事は、プレスリリース・エッセイのページからご覧ください。
以下は、最近の研究成果を中心にした代表的な論文になります。
- Konno and Iwasaki. Science Advances (2023)
- Zhu, [...], Iwasaki. Molecular Biology and Evolution (2023)
- Plianchaisuk, [...], and Iwasaki. Molecular Biology and Evolution (2022)
- Fukunaga and Iwasaki. Bioinformatics Advances (2022)
- Mikami and Iwasaki. Methods in Ecology and Evolution (2021)
- Mise and Iwasaki. iScience (2020)
- Matsui and Iwasaki. Systematic Biology (2020)
- Hiraoka, [...], and Iwasaki. Nature Communications (2019)
- Needham, Yoshizawa, Hosaka, [...], Iwasaki*, and Worden*. PNAS (2019)
- Cosentino and Iwasaki. Bioinformatics (2019)
- Kumagai, [...], and Iwasaki. The ISME Journal (2018)
- Sato, [...], and Iwasaki. Molecular Biology and Evolution (2018)
- Sriswasdi, Yang, and Iwasaki. Nature Communications (2017)
- Sriswasdi, [...], and Iwasaki. Genome Research (2016)
- Miya, [...], and Iwasaki. Royal Society Open Science (2015)
- Aoki, Ito, and Iwasaki. Molecular Biology and Evolution (2013)
- Iwasaki et al. Molecular Biology and Evolution (2013)
- Praneenararat, Takagi, and Iwasaki. Bioinformatics (2011)
- Iwasaki and Takagi. PLOS Genetics (2009)
- Iwasaki and Takagi. Bioinformatics (2007)
- Iwasaki et al. Journal of Molecular Biology (2006)
社会貢献・執筆・出演
- 小説「トランス」(島本理生氏との共作小説)/2022年
- フランスG7サミットに合わせて開かれたGサイエンス学術会議への日本からの代表派遣/2019年
- 首相官邸におけるGサイエンス学術会議共同声明の手交(安倍晋三総理大臣、平井卓也内閣府特命担当大臣、山極壽一日本学術会議会長、武内和彦同副会長)/2019年
- 広辞苑執筆(第七版・生物学分野担当)/2018年
- NHK Eテレ「人間ってナンだ?超ゲノム入門」出演/2018年
- ScienceTalks TV「メタメタサイエンス」出演/2020年
- 東京大学大学院理学系研究科・理学部YouTubeチャンネル「生物学の未開拓領域に情報で迫る」/2019年
そのほか、
- 特定非営利活動法人 日本バイオインフォマティクス学会 会長(2019-2021)
- 内閣府 日本学術会議 連携会員(2016-2023)・若手アカデミー 代表(2020-2023)
- International Society for Computational Biology, Board of Directors(2018-2024)
- Global Young Academy(2017-2022)
- 京都大学 化学研究所 バイオインフォマティクスセンター 客員准教授(2015-2016)
等を務めています。詳しくは、プロフィール・活動、出演・書籍等、プレスリリース・エッセイ等のページをご覧ください。
学生・研究員募集
私たちの研究室では、生命科学と情報科学の融合領域における最先端の研究を通じて、大学・研究機関・民間企業等で先頭に立って活躍していく研究者・専門家の育成を重視しています。研究室に参加される方には、学問を志すやる気と自ら考えて行動する積極性に加えて、柔軟な発想と遊び心、さらに、日本語か英語かによらず自分の考えを明確に表現しつつ仲間と議論・協調していく姿勢を持つことを期待しています。
具体的な研究テーマの決定にあたっては、先述した研究テーマに関連するなかで、メンバーが自分自身で考えたユニークなアイデアを積極的に受け入れ、研究計画を共に議論する方針をとっています。特に、新たな領域に挑戦することや本質的かつユニークな研究課題を探求することを志す熱意を持つ方を歓迎します。研究を遂行し成功させていく上では本気で取り組むことが何よりも重要な鍵であり、それが研究成果や学生の表彰・奨学生採用や学会発表賞の実績につながっていると考えています。
大学院生として研究室に参加することを目指す方へ
- 以下の2つの専攻のいずれかの入試を受験する必要があります(両方を受験することも可能です)。どちらの専攻から入学しても研究室での生活は変わりません。入試問題の形式・傾向は異なりますので、各専攻の過去問を参照してください。先端生命科学専攻は柏キャンパスに拠点があり、生物科学専攻は本郷キャンパスに拠点があります。講義については、基本的には所属している専攻の講義を受講しやすい仕組みになっていますが、他専攻の講義を受講することも可能です。
- 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻(分野名:生命環境適応性解析学分野)
- (修士:例年、6月に出願、8月に試験/博士:例年、6月または11月に出願、8月および1月〜2月に試験)
- 東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻
- (修士:例年、6月〜7月に出願、8月に試験/博士:例年、1月に出願、1月に試験)
- 各研究科・専攻等において、修士課程学生で博士課程への進学を目指す方および博士課程学生向けに、奨励金を支援するための国際卓越大学院プログラム・次世代挑戦的研究プログラムなどの制度を充実させているほか、国際学会への参加を支援する制度などを設けています。詳しくは、新領域創成科学研究科の経済的支援や理学部・理学系研究科の経済的支援プログラムのウェブページや、各専攻の大学院入試説明会などで確認してください。なお、柏キャンパス周辺は東京都内に比べれば家賃が安いこともあり、キャンパス周辺に下宿している学生も少なくありません。
- 研究室見学や質問は随時受け入れていますので、希望する方は私たちのこれまでの研究や岩崎が執筆した日本語記事をご覧いただいた上で、岩崎までメールにてご連絡ください。また、岩崎が参加する大学院入試説明会が東京大学柏キャンパスで開催される場合には、原則として説明会後に研究室見学を受け入れていますので、その場で声をかけてください。
特に、これまで大学等で生物科学か情報科学のいずれか一方のみを学び、大学院に入学することを目指す方へ
- 修士課程の2年間で新たな分野を1から学び、研究を行い、専門家としての経験を積むことは簡単ではありません。そこで、大学院入試後も入学までにさらに自分で学んでくること(合格発表後に参考書を指示します)、また、博士後期課程への進学を視野に入れることをお願いしています(私たちの研究室では、博士課程学生向けに奨励金と研究費を支援する日本学術振興会特別研究員(DC)や国際卓越大学院プログラム・次世代挑戦的研究プログラムへの応募を積極的に推奨しています)。
- なお、博士後期課程から入学する場合にも、早めにご連絡いただければ出願前からこれらの点について相談にのることができます。
研究者として研究室に参加することに興味のある方へ
- 私たちのこれまでの研究や岩崎が執筆した日本語記事をご覧いただいた上で、岩崎までメールにてご連絡ください。公募の情報はJREC-IN Portalに掲載されることがあるほか、公募を出していない場合でも特任研究員の受け入れが可能なことがあります。また、フェローシップ(日本学術振興会特別研究員(PD)等)への応募を歓迎します。特に、自らフェローシップを獲得して参加される方の研究テーマについては、私たちの研究室が持つ様々なアプローチを活用した幅広いテーマを積極的に受け入れています(これは、研究テーマの多様性の中からこそ生まれる独創性を重視しているためでもあります)。
生物情報科学科への進学・インターンシップ
卒業研究生は東京大学理学部生物情報科学科から受け入れています。高校生や駒場生(教養学部前期生)でバイオインフォマティクスやシステム生物学を学びたい方は、東京大学教養学部(理科であれば類は問いません)から理学部生物情報科学科へと進学してください。
駒場生の研究室見学も受け入れているほか、東京大学教養学部全学自由研究ゼミナール・全学体験ゼミナールの受け入れも行なっています(柏キャンパスサイエンスキャンプや生命の普遍原理に迫る研究体験ゼミなど)。また、私たちの研究室ではインターンシップ(研究補助アルバイト)を受け入れることが可能な場合があります。いずれの場合も、まずは岩崎(または研究室のメンバー)までご連絡ください。
奨学・研究寄付金のお願い、共同研究・コンサルティング・講演・執筆のご依頼
私たちの研究室では、生命科学と情報科学のダブルメジャー教育を通じて、「人類が直面する諸課題の解決や生命現象の本質的な謎の解明に挑戦する人材」「生命科学のデータサイエンス化時代を支える人材」の育成に取り組んでいます。公的予算を取り巻く状況が厳しく、その用途にもさまざまな制限がある中で、奨学・研究寄付金として私たちの教育研究活動にご支援をいただける企業・団体・個人の方を広く募集しています。
ご寄付をいただいた場合は、税法上の優遇措置が受けられます。法人からのご寄付の場合には、法人税法第37条第3項第2号により全額を損金算入できます。個人からのご寄付の場合には寄付金額(その年の総所得金額等の40%を上限)から2,000円を引いた額を所得金額から控除できます。また、東京大学基金では安田講堂への銘板の掲示や、記念プレートの贈呈、特別セミナーへの招待、紺綬褒章への推薦などの寄付特典を用意しています。
ご寄付をいただける場合には、東京大学基金のページの「寄付する」から寄付目的を「その他」としていただき、「ご支援先の内容を140文字以内でお書きください」の欄に「大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 岩崎渉研究室」とご記入ください。
民間企業等からの共同研究のご依頼についても、東京大学産学共創推進本部のページもご覧のうえ、岩崎までメールにてご連絡ください。私たちの研究室では、これまで複数の共同研究プロジェクトを進めた実績があります。共同研究の期間や必要経費はプロジェクトの内容によります。私たちの研究室で雇用する博士研究員等が従事する必要がある場合には、経費に人件費相当額を含める必要があるほか、成果を論文(および特許・プロダクト・社会実装等)として公開することが原則として必要となります。民間企業の社員を共同研究員として受け入れるなどの形で推進する場合には、その限りではありません。そのほか、コンサルティングや学術指導といった形式を取ることも含め、幅広くご相談に乗ることが可能です。
講演・執筆などのご依頼についても、まずは岩崎までメールにてご連絡ください。